会員の皆様
次回第77回第二言語習得研究会をご案内いたします。
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◆日時; 2011年4月23日(土)午後1時30分からを予定しております(開場は1時となります)。
◆場所; お茶の水女子大学文教2号館302教室
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg 土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html 正門(東門)から入って一番遠い11番の建物です。
◆研究会参加について:参加への事前予約等はございません。2011年度初回ですので、当日、受付にて年会費(2000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。
◆研究発表
1.「韓国語を母語とする日本語学習者の補助動詞テクルの習得
―認知的難易度と母語の影響について―」 【1:30~2:10】
チョナレ(お茶の水女子大学大学院生)
【要旨】
本研究では、韓国の大学で日本語を学んでいる学習者を対象に質問紙調査を実施し、「認知的難易度」と「韓国語に対応するか否か」の要因が補助動詞テクルの各用法の習得にどのように作用しているのかを調査した。
その結果、(1)認知的難易度よりも韓国語に対応するかどうかがテクルの習得により強い影響を及ぼす、(2)韓国語に対応する用法は日本語習熟度が上がるにつれて習得されていくが、その際には認知的に易しいものの習得が早い、(3)韓国語に対応しない用法の中では、日本語と韓国語で概念が類似している用法の習得の方が容易である、(4)韓国語に対応せず類似の用法もないものは、日本語習熟度が上がっても習得が困難であることが明らかになった。
このように、韓国語を母語とし、JFL環境で日本語を学ぶ教室学習者の場合、テクルの習得には、「認知的難易度」より「母語との対応関係」が強く影響することが窺われ、今まで比較的軽視されてきた「母語の影響」により注目し、第二言語の教授の際にも今まで以上に考慮する必要があるということが示唆された。
2.「日本語における文理解時の格標識・語順手がかり使用
ーモンゴル語・中国語モノリンガル日本語学習者を対象にー」 【2:10~2:50】
白春花(はく しゅんか)東京大学総合文化研究科大学院生
【要旨】
本研究は、類型論の視点から、文理解の手がかり使用におけるモノリンガルの学習者の相違を明確にすることを目的とし、モノリンガルの文理解時の格助詞手がかり及び語順手がかり使用を調べた。研究課題は母語が日本語と類型論的に同じ言語のモノリンガルと、類型論的に異なる言語のモノリンガルでは、日本語の文理解において用いる手がかりが異なるかである。14人のモンゴル語日本語学習者(以下MJ)、15人の中国語日本語学習者(以下CJ)を対象に、一つの動詞、二つの名詞からなる単文をSuperLabによる視覚提示を行い、分散分析をかけた結果は以下のようである。
MJはおもに格助詞に頼っていることが分かった。つまり、類型論的に近い、かつ、母語において強い手がかりが目標言語においても強い手がかりになる場合、その手がかりの転移が起こりやすいことが示唆された。そして、CJは格助詞、語順手がかり両方に頼っていることが確認された。これは、学習者は目標言語に有効な手がかりを目標言語のインプットから、その言語に有効な手がかりを自分の心内で創り上げていることを示唆している。
<休憩>
■講演
「良い研究・良い研究発表をするために」【3:00~4:00】
大関 浩美(オオゼキ ヒロミ) 麗澤大学
【要旨】
良い研究発表をするには、まず研究そのものがよくなければならないことはもちろんだが、その上で、その研究の大事な点をしっかりと伝える研究発表にしなければならない。自分の研究について、その研究がなぜ必要なのか、その結果のどこが面白いのか、なぜ重要なのか、これらがきちんと伝わる研究発表にするにはどうしたらいいのだろうか。「良い習得研究」とはどんな研究かということとあわせて考えたい。
ご来場、お待ちしております。