研究会のホームページ

第2言語習得研究会(関東)の会員の皆様、
このたび研究会の公式ホームページを移転しました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
http://jsl.li.ocha.ac.jp/kasla/


第82​回第2言語習得研究会​(関東)の発表者募集

みなさま

次回(第82回)の第2言語習得研究会(関東)の日程をお知らせいたします。
 同時に、次回の研究会での発表者を募集しております。
 今回は締め切りまでの時間が短いので、早めのお申し込みをお待ちしております。 


第82回第2言語習得研究会(関東)の日程;
次回は2012年6月16日(土)です。
午後1時半からお茶の水女子大学にて予定しております。
(発表者数により、開催時間は変更される場合がございます。)
詳細につきましては、後日改めてご案内申し上げます。

発表者募集;
第二言語としての日本語、英語などの習得研究及びその関連領域であれば発表が可能です。
発表は質疑応答を含め、45分程度です。
各大学でご活躍の諸先生方、大学院生などの貴重なコメントが受けられます。
発表は、会員・非会員を問いません。
但し、発表希望多数の場合は、選考をして発表者を決定させていただきます。
発表をご希望の方は下記の項目を記載したものをE-mailで事務局宛にお送りください。
締め切りは5月18日(金)です。
こちらから折り返しご連絡いたします。

(1)発表題目(簡単な内容説明を400字以内を添える)
(2)氏名(ふりがな併記)
(3)所属(大学、日本語学校、研究所名など)
(4)職名(非常勤講師、大学院生など)
(5)連絡先(E-mail、電話番号、ありましたらFAX番号)

 みなさんのご応募お待ちしております!

e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。


第11回SLA読書会のお知らせ

会員の皆さま

SLA関係の論文を読む読書会を、
5月は以下の通り行います。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

いつものように、ハンドアウトの用意等のため、参加ご希望の方は、大関(hiromi_55jp[at]yahoo.co.jp)までご連絡ください。
([at]を@に変えてご連絡ください。)

★会場は、5月はお茶大です★

■日時:5月12日(土)13:30~
■場所:お茶の水女子大学
文教育学部1号館1階、多目的室(グローバル教育センター左となり)
http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html
(地図4の建物です)

大学へのアクセスマップ
http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg

土曜日は、正門(東門)しか開いていませんので、
最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
有楽町線の護国寺から近い門は開いていませんので、
ご注意ください。
(護国寺駅から正門まで歩くのは、結構遠いです)

■読む論文
Williams, J. N. (2004). Implicit learning of form-meaning connections.
In B. VanPatten, J. Williams, S. Rott & M. Overstreet (Eds.),
Form-meaning connections in second language acquisition (pp. 203-218).
Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

form-meaning connectionsに関するimplicit learningが可能かを検証した研究論文です。
L1に似たようなシステムがないitemには、implicit learningは難しい、というような結果が出ています。
今回の論文は、Webでのダウンロードはできないので、入手が難しい方は、大関までご連絡ください。
PDFファイルをお送りします。

ご参加をお待ちしております。

第81​回第2言語習得研究会​(関東)のご案内

みなさま

次回第81回第2言語習得研究会のプログラムをご案内いたします。
どうぞ皆様お誘い合わせの上、ご来場くださいませ。
(※開催会場にご注意ください)

………………………………
◆日時;2012年4月28日(土) 13:30~17:00
    (開場は13:00となります)

◆ 場所: お茶の水女子大学 生活科学部 306教室
 (正門から入って正面に見える建物(大学本館)の3階です)
*大学まで;
http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。
正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;
http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html

◆研究会参加について:
参加への事前予約等はございません。
2012年度初回ですので、当日、受付にて年会費(2000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。

◆プログラム
【研究発表1】13:30-14:10  
 張勇「日本語学習が異文化態度の形成に与える影響についての研究:中国人日本語専攻の大学生を対象に」
【研究発表2】14:20-15:00
 小針奈津美「JFL環境で学ぶ中国人日本語学習者の縮約形の習得について―「使わない」学習者の気持ち―」
【研究発表3】15:10-15:50
中野二郎「漢語のリズムパターンとアクセントとの関係性―漢語の発音習得のための一提案―」
【講演会】16:00-17:00
向山陽子「第二言語習得における言語適性の役割」


■研究発表1 (13:30-14:10) 
「日本語学習が異文化態度の形成に与える影響についての研究:中国人日本語専攻の大学生を対象に」
張 勇(ちょう ゆう) 政策研究大学院大学 大学院生

【要旨】本研究では、日本語を学習することで学習者の対日態度にどんな変化が起こるか、また、それは異文化一般に対する態度にも波及するかを検証する。調査は、日本語専攻と他専攻の中国人大学生799名(1年生~4年生)を対象に、質問紙調査を実施し、データを収集した。調査の結果、日本語専攻大学生は、全体的により肯定的・中立的な対日態度を持っていることが分かった。低・高学年を比較した結果、他専攻大学生については変化が見られなかったのに対し、日本語専攻大学生は、肯定的・中立的な対日態度を維持しつつも、高学年になると否定的な対日態度が上昇した。この結果から、学習が進むにつれて、学習者の対日認識が多面的になり、複雑化することが窺われる。異文化一般に対する態度に関しては、学年が上がるにつれて、日本語専攻大学生が異文化に対する柔軟さを持つことが明らかになり、対日態度の複雑化が異文化に対するより柔軟な姿勢につながる可能性が示唆された。

■研究発表2 (14:20-15:00)
「JFL環境で学ぶ中国人日本語学習者の縮約形の習得について―「使わない」学習者の気持ち―」
小針 奈津美(こばり なつみ) 早稲田大学大学院日本語教育研究科 大学院生

【要旨】本研究では、中国人大学生を対象に質問紙調査を行い、16種の縮約形について、知識の有無、使用の有無、知っているにも関わらず使わない理由を質問し、学習者の持つ知識と使用意識を明らかにした。調査の結果、縮約形を使わない理由の中には「知識はあるが使いたくない」が含まれていることがわかった。「使いたくない」という「気持ち」に着目して行ったインタビューでは、各々の学習者が原形との使い分けの独自の基準を持ち、それらは文化的背景や学習リソースの影響を受けている様子が窺えた。また、「縮約形を使うと相手とより親しくなれる」という声も聞かれた。縮約形の習得の重要性が示唆されたが、原形からの変形方法や母語話者の使用実態を提示するだけでは不十分ではないだろうか。教育現場においては、縮約形の使用に対する学習者の「気持ち」に配慮しながら、学習者と教師が共に縮約形を使ったコミュニケーションを考えていく必要があるであろう。

■研究発表3 (15:10-15:50)
「漢語のリズムパターンとアクセントとの関係性―漢語の発音習得のための一提案―」
中野 二郎(なかの じろう) 拓殖大学大学院言語教育研究科 大学院生・早稲田大学日本語教育研究センター インストラクター・秀林外語専門学校日本語学科 講師

【要旨】日本語のアクセント研究では、ある程度の規則が整理され、学習者の習得サポートに少なからず貢献している。例えば、音声教材では、動詞や形容詞や外来語に関してはアクセントパターンを提示し学習者のサポートを図っており、研究成果が教育の場に生かされている。しかし、名詞のうちで大多数を占める漢語に関しては特にフォーカスを当てて、学習法まで論じた研究は多く見られない。漢語の特徴として、重音節(特殊拍を含む、2拍の音節)を含む割合が高いことが挙げられる。音節リズム言語を母語とする漢字圏からの学習者にとって、漢語は親しみやすい一方、発音に関しては拍とアクセント両面で母語干渉が出やすい語種である。本研究では、漢語のリズムパターンとアクセントの関係を、教材やアクセント辞典を題材として数量的に明らかにする。調査では、既にある程度の有意な関係性が示唆されている(例:軽音節と軽音節の組み合わせ、例えば「意志」、「都市」のような語は頭高である確率が高い等)。リズムとアクセントの関係性を利用することで、漢語の発音習得のために効率よい方法を提案する。

■講演会 (16:00-17:00)
「第二言語習得における言語適性の役割」
向山 陽子(むこうやま ようこ) お茶の水女子大学

【概要】第二言語習得研究は習得の普遍性の追究から始まったが、近年は習得の個別性に着目する研究が徐々に増えてきた。言語適性、動機づけ、学習スタイルなど、個人によって異なる特性が習得に影響しているが、その中でも言語適性の影響が最も大きいと考えられている。本発表では、まず言語適性を巡る近年の研究動向を整理し、現在どのようなことが議論されているかについて述べる。 次に中国語を母語とする日本語学習者を対象として行った縦断的研究から明らかになった言語適性と学習成果の関係について紹介する。その中で、研究遂行に当たり、どのように研究課題を設定し、研究課題に答えを出すためにどのような研究計画を立てたのか、また、どのように論文にまとめたのかといったことについても併せて説明する。


ご来場お待ちしております。


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第2言語習得研究会(関東)
事務局:曺ナレ
http://sla-kanto.blogspot.com/
e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。
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第81回第2言語習得研究会(関東)の発表者募集

みなさま

次回(第81回)の第2言語習得研究会(関東)の日程をお知らせいたします。
同時に、次回の研究会での発表者を募集しております。

第81回第2言語習得研究会(関東)の日程;
次回は2012年4月28日(土)です。
午後1時半からお茶の水女子大学にて予定しております。
(発表者数により、開催時間は変更される場合がございます。)
詳細につきましては、後日改めてご案内申し上げます。

発表者募集;
第二言語としての日本語、英語などの習得研究及びその関連領域であれば発表が可能です。
発表は質疑応答を含め、45分程度です。
各大学でご活躍の諸先生方、大学院生などの貴重なコメントが受けられます。
発表は、会員・非会員を問いません。
但し、発表希望多数の場合は、選考をして発表者を決定させていただきます。


発表をご希望の方は下記の項目を記載したものをE-mailで事務局宛にお送りください(3月21日締切)。
こちらから折り返しご連絡いたします。

(1)発表題目(簡単な内容説明を400字以内を添える)
(2)氏名(ふりがな併記)
(3)所属(大学、日本語学校、研究所名など)
(4)職名(非常勤講師、大学院生など)
(5)連絡先(E-mail、電話番号、ありましたらFAX番号)

e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。

ご応募お待ちしております。

第10回SLA読書会のお知らせ

会員の皆さま

SLAの文献を読む読書会を、3月は以下の通り行います。
(1月は日程の都合がつかず、開催できませんでした)

ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

ハンドアウトの用意等のため、参加ご希望の方は、
大関(hoozeki[at]reitaku-u.ac.jp)までご連絡ください。
([at]を@に変えてご連絡ください。)


★会場がいつもと異なりますのでご注意ください★

■日時:3月9日(金)13:30~
■場所:麗澤大学東京研究センター
    〒163-1304 東京都新宿区西新宿6-5-1 
    新宿アイランドタワー4階4104号室
     
    ●東京メトロ・丸の内線「西新宿駅」に直結
    ●都営地下鉄大江戸線・都庁前駅からは徒歩5分。
    ●「新宿駅」西口から徒歩10分(新宿警察署そば)。

   案内図は、このリンク先の下のほうにあります↓
   http://rock.reitaku-u.ac.jp/link/traffic.html

 ★アイランドタワーの敷地内には、
  本屋さんなどが入っている低い建物もありますが、
  44階建ての高層ビルがアイランドタワーです。
  東京研究センターは、高層ビル部分の4階にあります。
  高層ビルの入り口を入って、低層階行きエレベーターに乗ってください。
  (低層階行きエレベーターの表示がちょっとわかりにくいです。)
  4階で降りて、廊下を右に進んでください。一番奥の左手が会場です。

■読む論文
Tokowicz, N., & MacWhinney, B. (2005)
Implicit and explicit measures of sensitivity to violations in second 
language grammar: An event-related potential investigation.
Studies in Second Language Acquisition, 27, 173–204.

ダウンロードはこちらから↓
http://psyling.psy.cmu.edu/papers/guides/CM-L2.html

参加者の方からリクエストをいただいた論文で、
私自身はまだ読んでいませんが、
既読の方から、おもしろかったという感想をもらっています。
明示的知識、暗示的知識に関して脳波を使った研究です。

ご参加をお待ちしております。

第80回第2言語習得研究会(関東)のご案内

第80回第2言語習得研究会(関東)のプログラムをご案内いたします。

今回の第2言語習得研究会(関東)は、
本研究会を創設され、3月で定年を迎える長友和彦先生の講演会と、4件の研究発表を予定しております。
研究会の後には懇親会も予定しておりますので、こちらにも是非ご参加ください。

なお、 開始時間と会場が通常と異なりますのでご注意ください。

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◆ 日時:2012年2月18日(土) 13:00~17:00
    (開場は12:20となります)
     
◆ 場所:お茶の水女子大学 生活科学部 306大講義室
  (正門から入って正面に見える建物(大学本館)の3階です)

 *いつもと会場が異なりますのでご注意ください。
 *大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
  土曜のため、正門(東門)しか開いていません。
  正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の
  茗荷谷駅になります。
 *学内マップ;
  http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html

◆ 研究会参加:
 2011年度(4月以降)初めていらっしゃる会員の方は、
当日、受付にて年会費の半額 (1000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。
なお、4月、6月にお越しくださいました方は、既に会費を納付済みですので、無料となります。

◆ 懇親会のご案内:
 研究会の後、懇親会を行う予定です(18:00-20:30 茗荷谷駅近くのレストラン)
 懇親会の参加をご希望の方は①氏名②所属③連絡先(e-mail,電話番号)を明記の上、事務局sla.kanto.ocha@gmail.comまでお送りください。
 ※ 申し込み締め切り:1月30日(月)
 ※ 懇親会費:4,000円
 ※ 事前予約制ですので、お早めのご連絡をお願いします。

◆ プログラム
【研究発表1】13:00-13:35  
 岡田美穂 「JFL環境、JSL環境における中国語を母語とする学習者の存在文のニ格の習得過程」
【研究発表2】13:35-14:10
 庄倩「中国人学習者日中同形類義語の習得 ―即応産出時の難易度とそれに関わる要因について―」
✤10分休憩✤
【研究発表3】14:20-14:55
 岩下智彦「講義の進行に伴うノートテイキングの質的変化―物語文法の枠組みを用いて―」
【研究発表4】14:55-15:30
 柴田アドリアーナ・高橋薫・佐藤朝美・山内祐平
「在日ブラジル人児童を対象としたデジタル日本語教材の開発」
  ✤10分休憩✤ 
【講演会】15:40-17:00 (1時間講演、20分質疑)
 長友和彦「『多言語多文化同時学習支援論』とは…?」


◆ 研究発表

■発表1 (13:00-13:35) 
「JFL環境、JSL環境における中国語を母語とする学習者の存在文のニ格の習得過程」
岡田 美穂(おかだ みほ) 九州大学比較社会文化学府 大学院生

【要旨】 本研究は、「~に...が3人いる」といったタイプの存在文に出現するデ格の誤用は、範囲限定のデ格との混同に起因することを示すと同時に、この誤用が学習環境の異なる中国語を母語とする日本語学習者に見られるのかを検証したものである。当該存在文は、範囲限定のデ格を伴う文との区別が困難であることから、この混同が引き起こされるものと考えられる。調査は、格助詞選択テストに基づくもので、JFL環境とJSL環境の学習者に対し実施した。その結果、JFL、JSLの双方において当該存在文の二格と範囲限定のデ格の間には負の相関関係があることが分かった。これは、範囲限定のデ格の正答率が上昇すると存在文等のニ格の誤答率が上昇することを意味する。他方、存在文の二格と動作場所のデ格との間には相関関係がないことが明らかになった。このことは当該存在文に見られるデ格の誤用は、存在文の二格と範囲限定のデ格との区別がつかない習得過程を示すものと思われる。

■発表2 (13:35-14:10)
「中国人学習者日中同形類義語の習得 ―即応産出時の難易度とそれに関わる要因について―」
 庄 倩(しょう せん) 早稲田大学日本語教育研究科外国人研究員・中国南京大学外国語学院 講師

【要旨】日中同形類義語は漢語の中で最も習得しにくく、特に中国人学習者が使用する時に誤用が多いとされる。その原因を探るために、本研究では目標語を使用する際の難易度が母語の転移とその語の難易度(日本語能力試験級数)、学習者日本語習熟度より影響されるとの仮説を立てた。調査方法として、中国のある大学の日本語学科に在籍する学生35名を対象に、提示された中国語の文の意味を直ちに日本語で伝えさせる即応産出テストを実施した。分析方法としては、20個の同形類義語の難易度を調べ、統計的手法を用いて上記の仮設が成立するかどうかを検証した。 結果としては、中国人学習者が同形類義語を使用する時に母語の意味転移の影響が実在するが、それだけに左右されるものではないことが判った。意味対照タイプの違いと品詞の差異の有無、目標語の難易度、学習者日本語習熟度によって使用難易度が違ってくるとの仮説を証明した。

■発表3 (14:20-14:55)
「講義の進行に伴うノートテイキングの質的変化―物語文法の枠組みを用いて―」
岩下 智彦 (いわした ともひこ) 桜美林大学大学院言語教育研究科 修了生

【要旨】本研究は,講義の理解過程とノートテイキングの関係性を明らかにすることを目的とし,講義の進行に伴うノートテイキングの質的変化を分析したものである。調査協力者(NS4名,NNS9名)が講義DVDを視聴した際のノートを分析対象とし,物語文法(Thorndyke 1977)に基づいて抽出した講義の主要な内容が,どの程度ノートに書かれているか分析した。その結果,以下の3点が明らかになった。1)講義の進展に伴い講義の主要な内容の記述率が減少した。2)講義序盤では,物語文法における上位情報,下位情報を問わず記述されている傾向が示された。一方,講義終盤では上位情報は記述され続けていたのに対し,下位情報の記述は減少した。3)ノートの記述量が多い群と少ない群に分け分析したところ,この2つの傾向は特に記述量が少ない群に顕著であった。この結果,母語話者,非母語話者を問わず,講義の進展に伴い受講者のノートテイキングの質が変化するということが示唆された。

■ 発表4 (14:55-15:30)

「在日ブラジル人児童を対象としたデジタル日本語教材の開発」
柴田 アドリアーナ (しばた あどりあーな) 東京大学大学院学際情報学府文化・人間情報コース 大学院生

【要旨】本研究では、在日ブラジル人児童(幼稚園年長から小学校1年生)向けの、インフォーマルラーニングのデジタル日本語教材を開発した。母語習得においても、幼児期のインフォーマルな学習が、小学校入学後の日本語学習に多大な影響を与えるが、対象児童に対するインフォーマルラーニングの支援は管見では見られない。支援原理としては、社会的構成主義に基づくFifth Dimensionの理論を採用した。教材は、ブラジルと日本に馴染み深いバイリンガルの教授エージェントとの対話を通して、対象児童が一人でも日本語の学習を進められるようにデザインした。ユーザーテストの結果、対象児童が一人でも日本語の学習を進められることが確認された。また、パペットパラダイムを用いて、事前・事後テストを実施したところ、事後テストでは、学習した日本語表現を自ら産出したり、正答には至らなくても教材から受けたインプットを理解し、インテイクが促進された様子が伺えた。

◆ 講演会 (15:40-17:00)
「『多言語多文化同時学習支援論』とは…?」
長友 和彦 (ながとも かずひこ) 宮崎大学

【概要】「誤用分析」をきっかけに「中間言語研究」を始め、その後、「自然習得研究」から「多言語習得研究」へと私の研究上の関心は移っていきました。講演では、「多言語習得論」を理論的支柱の一つとする「多言語多文化同時学習支援」についてお話ししたいと考えています。「多言語多文化同時学習支援」は、最も簡潔には、「学習者が母語・毋文化を活かして、それ以外の言語・文化を二つ以上、同時に学習することを教師(指導者)が支援者、あるいはファシリテーター(推進者)として支援することである」と定義されます。グローバル・コミュニケーション、特に、東アジア諸言語を共通語とする東アジアのコミュニケーションの基盤構築に寄与しようと5年ほど前から始めたもので、宮崎大学を核として台湾・韓国・中国・日本の関係機関と連携しながら、その「理論」と「実践」と「運動」の展開を図っています。 講演では、①「多言語多文化同時学習支援」と「多言語習得論」、②「多言語多文化同時学習支援」と「言語教育論」、③「多言語多文化同時学習支援」シラバス論、④「運動体」としての「多言語多文化同時学習支援」等の観点、特に「多言語『同時』習得論」に観点を絞ってお話を進め、参加者の皆様と意見を交わすことができたらと思っています。


ご来場、お待ちしております。


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第2言語習得研究会(関東地区)
事務局:曺ナレ
http://sla-kanto.blogspot.com/
e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。
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