第81​回第2言語習得研究会​(関東)のご案内

みなさま

次回第81回第2言語習得研究会のプログラムをご案内いたします。
どうぞ皆様お誘い合わせの上、ご来場くださいませ。
(※開催会場にご注意ください)

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◆日時;2012年4月28日(土) 13:30~17:00
    (開場は13:00となります)

◆ 場所: お茶の水女子大学 生活科学部 306教室
 (正門から入って正面に見える建物(大学本館)の3階です)
*大学まで;
http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。
正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;
http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html

◆研究会参加について:
参加への事前予約等はございません。
2012年度初回ですので、当日、受付にて年会費(2000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。

◆プログラム
【研究発表1】13:30-14:10  
 張勇「日本語学習が異文化態度の形成に与える影響についての研究:中国人日本語専攻の大学生を対象に」
【研究発表2】14:20-15:00
 小針奈津美「JFL環境で学ぶ中国人日本語学習者の縮約形の習得について―「使わない」学習者の気持ち―」
【研究発表3】15:10-15:50
中野二郎「漢語のリズムパターンとアクセントとの関係性―漢語の発音習得のための一提案―」
【講演会】16:00-17:00
向山陽子「第二言語習得における言語適性の役割」


■研究発表1 (13:30-14:10) 
「日本語学習が異文化態度の形成に与える影響についての研究:中国人日本語専攻の大学生を対象に」
張 勇(ちょう ゆう) 政策研究大学院大学 大学院生

【要旨】本研究では、日本語を学習することで学習者の対日態度にどんな変化が起こるか、また、それは異文化一般に対する態度にも波及するかを検証する。調査は、日本語専攻と他専攻の中国人大学生799名(1年生~4年生)を対象に、質問紙調査を実施し、データを収集した。調査の結果、日本語専攻大学生は、全体的により肯定的・中立的な対日態度を持っていることが分かった。低・高学年を比較した結果、他専攻大学生については変化が見られなかったのに対し、日本語専攻大学生は、肯定的・中立的な対日態度を維持しつつも、高学年になると否定的な対日態度が上昇した。この結果から、学習が進むにつれて、学習者の対日認識が多面的になり、複雑化することが窺われる。異文化一般に対する態度に関しては、学年が上がるにつれて、日本語専攻大学生が異文化に対する柔軟さを持つことが明らかになり、対日態度の複雑化が異文化に対するより柔軟な姿勢につながる可能性が示唆された。

■研究発表2 (14:20-15:00)
「JFL環境で学ぶ中国人日本語学習者の縮約形の習得について―「使わない」学習者の気持ち―」
小針 奈津美(こばり なつみ) 早稲田大学大学院日本語教育研究科 大学院生

【要旨】本研究では、中国人大学生を対象に質問紙調査を行い、16種の縮約形について、知識の有無、使用の有無、知っているにも関わらず使わない理由を質問し、学習者の持つ知識と使用意識を明らかにした。調査の結果、縮約形を使わない理由の中には「知識はあるが使いたくない」が含まれていることがわかった。「使いたくない」という「気持ち」に着目して行ったインタビューでは、各々の学習者が原形との使い分けの独自の基準を持ち、それらは文化的背景や学習リソースの影響を受けている様子が窺えた。また、「縮約形を使うと相手とより親しくなれる」という声も聞かれた。縮約形の習得の重要性が示唆されたが、原形からの変形方法や母語話者の使用実態を提示するだけでは不十分ではないだろうか。教育現場においては、縮約形の使用に対する学習者の「気持ち」に配慮しながら、学習者と教師が共に縮約形を使ったコミュニケーションを考えていく必要があるであろう。

■研究発表3 (15:10-15:50)
「漢語のリズムパターンとアクセントとの関係性―漢語の発音習得のための一提案―」
中野 二郎(なかの じろう) 拓殖大学大学院言語教育研究科 大学院生・早稲田大学日本語教育研究センター インストラクター・秀林外語専門学校日本語学科 講師

【要旨】日本語のアクセント研究では、ある程度の規則が整理され、学習者の習得サポートに少なからず貢献している。例えば、音声教材では、動詞や形容詞や外来語に関してはアクセントパターンを提示し学習者のサポートを図っており、研究成果が教育の場に生かされている。しかし、名詞のうちで大多数を占める漢語に関しては特にフォーカスを当てて、学習法まで論じた研究は多く見られない。漢語の特徴として、重音節(特殊拍を含む、2拍の音節)を含む割合が高いことが挙げられる。音節リズム言語を母語とする漢字圏からの学習者にとって、漢語は親しみやすい一方、発音に関しては拍とアクセント両面で母語干渉が出やすい語種である。本研究では、漢語のリズムパターンとアクセントの関係を、教材やアクセント辞典を題材として数量的に明らかにする。調査では、既にある程度の有意な関係性が示唆されている(例:軽音節と軽音節の組み合わせ、例えば「意志」、「都市」のような語は頭高である確率が高い等)。リズムとアクセントの関係性を利用することで、漢語の発音習得のために効率よい方法を提案する。

■講演会 (16:00-17:00)
「第二言語習得における言語適性の役割」
向山 陽子(むこうやま ようこ) お茶の水女子大学

【概要】第二言語習得研究は習得の普遍性の追究から始まったが、近年は習得の個別性に着目する研究が徐々に増えてきた。言語適性、動機づけ、学習スタイルなど、個人によって異なる特性が習得に影響しているが、その中でも言語適性の影響が最も大きいと考えられている。本発表では、まず言語適性を巡る近年の研究動向を整理し、現在どのようなことが議論されているかについて述べる。 次に中国語を母語とする日本語学習者を対象として行った縦断的研究から明らかになった言語適性と学習成果の関係について紹介する。その中で、研究遂行に当たり、どのように研究課題を設定し、研究課題に答えを出すためにどのような研究計画を立てたのか、また、どのように論文にまとめたのかといったことについても併せて説明する。


ご来場お待ちしております。


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第2言語習得研究会(関東)
事務局:曺ナレ
http://sla-kanto.blogspot.com/
e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。
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第81回第2言語習得研究会(関東)の発表者募集

みなさま

次回(第81回)の第2言語習得研究会(関東)の日程をお知らせいたします。
同時に、次回の研究会での発表者を募集しております。

第81回第2言語習得研究会(関東)の日程;
次回は2012年4月28日(土)です。
午後1時半からお茶の水女子大学にて予定しております。
(発表者数により、開催時間は変更される場合がございます。)
詳細につきましては、後日改めてご案内申し上げます。

発表者募集;
第二言語としての日本語、英語などの習得研究及びその関連領域であれば発表が可能です。
発表は質疑応答を含め、45分程度です。
各大学でご活躍の諸先生方、大学院生などの貴重なコメントが受けられます。
発表は、会員・非会員を問いません。
但し、発表希望多数の場合は、選考をして発表者を決定させていただきます。


発表をご希望の方は下記の項目を記載したものをE-mailで事務局宛にお送りください(3月21日締切)。
こちらから折り返しご連絡いたします。

(1)発表題目(簡単な内容説明を400字以内を添える)
(2)氏名(ふりがな併記)
(3)所属(大学、日本語学校、研究所名など)
(4)職名(非常勤講師、大学院生など)
(5)連絡先(E-mail、電話番号、ありましたらFAX番号)

e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。

ご応募お待ちしております。