第74回第二言語習得研究会(関東)のご案内

皆様
次回第74回第二言語習得研究会(関東)をご案内いたします。

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◆日時; 2010年6月19日(土)午後13時30分からを予定しております(開場は13時となります)。
◆場所; お茶の水女子大学文教2号館302教室
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html
正門(東門)から入って一番遠い11番の建物です。
◆研究会参加について:
参加への事前予約等はございません。2010年度(4月以降)初めていらっしゃいます方は、当日、受付にて年会費の(2000円)をお納めいただきますようお願いいたします。非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。なお、4月にお越しくださいました方は、既に会費をお支払いいただいておりますので無料となります。

◆研究発表① 13:30~14:10
「日本語学習者の使用する「外の関係の連体修飾節」 ~KYコーパスの分析から~」
 大関浩美(オオゼキ ヒロミ) 麗澤大学外国語学部 
【要旨】
日本語の名詞修飾節に関する習得研究では、英語等の関係節にほぼ相当する「内の関係の連体修飾節」(寺村1975)を対象とした研究が中心になっており、「外の関係」を対象とした研究はほとんど行なわれていない。本研究では、KYコーパスで韓国語・中国語・英語母語話者が使用した「外の関係の連体修飾節」を取り出し、学習者がどのような「外の関係」を使用しているかを分析し、また日本語母語話者の使用と比較した。その結果、①陳述度が高い修飾節に「話」「考え」などの名詞を付加する形が使われやすい、②逆に陳述度の非常に低い修飾節も早い段階から使われる、③「外の関係」を多く使用している学習者でも日本語母語話者に比べ被修飾名詞の異なり数は多くない、④付加するかどうかの規則が非常に複雑である「という」に関しては、上級以上では母語話者の使い分けに近いものになっている、ことなどがわかった。これらの結果を踏まえ、学習者の「外の関係」は、修飾構造を体系として捉え生産的に広げていくというよりも、個々の表現として覚えたものを中心にアイテム・ベースに進む(N. Ellis 2003)のではないかという議論を行なう。

◆研究発表② 14:10~14:50
「基本動詞の多義的な意味の習得に日本語習熟度と滞日期間が与える影響について -中国人と韓国人を対象に-」
 林秀(リン シュウ) お茶の水女子大学大学院生
【要旨】
 本研究は日本語学習者の基本動詞の多義的な意味知識の習得を調べることを目的として行われた。中国人学習者と韓国人学習者を対象に、日本語能力試験3級程度の基本動詞8つ(止める、払う、起こす、移す、おりる、下げる、付ける、立てる)について文完成テストと文翻訳テストを行った。文完成テストにおける錯乱肢は母語の影響がみられやすい語を用いた。対象語テストの得点と言語習熟度、滞日期間、母語の影響との関係を分析した。その結果、まず、言語習熟度は、文完成テストと高い相関がみられ、文翻訳テストとはやや高い相関がみられた。次に、滞日期間は、文完成テストと高い相関がみられ、文翻訳テストとは低い相関がみられた。このことから、日本語学習者の基本動詞の多義的な意味の習得は、日本語習熟度の他に、滞日期間の影響もあることが明らかになった。また、母語による影響は、言語習熟度が低く滞日期間が短い学習者に一部観察された。

◆講演  15:00~15:40
「よい研究をするには何が必要か  ~佐々木嘉則さんの残したもの~」
白井恭弘(シライ ヤスヒロ) ピッツバーグ大学言語学科 教授
【要旨】
 本講演では、今年1月に急逝した佐々木嘉則氏の業績・足跡を、エピソードも交えて振り返りながら、すぐれた(言語習得)研究をするにはどのような要素が必要なのかを検討する。特に、氏が強調していた「理論」の重要性、先行研究と自分の研究との関連づけなどについて、リサーチクエスチョン表などの具体例を用いて、どのように研究のレベルをあげて行くかを考える。


ご来場お待ちします。