会員の皆様
次回第78回第二言語習得研究会のプログラムをご案内いたします。
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◆日時; 2011年6月18日(土)午後2時からを予定しております(開場は1時30分となります)。
◆場所; お茶の水女子大学文教2号館302教室
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg 土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html 正門(東門)から入って一番遠い11番の建物です。
◆研究会参加について:参加への事前予約等はございません。当日、今年度の初回の会員様には、受付にて年会費(2000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。
◆研究発表
1.「第二言語としての日本語の接続助詞「ケド」の習得について
~KYコーパス分析を中心に~」 【2:00~2:40】
横田敦子(ヨコタ アツコ)お茶の水女子大学大学院生
【要旨】
本研究は、第二言語習得過程においていかに語用論的な言語能力を身につけるかという問いの一端を明らかにすることを目指し、日本語の接続助詞ケドのもつ談話における機能に着目した研究である。学習者がケドを逆接・対比のコントラストが明確なものと理解している一方で、母語話者の発話においては、必ずしもそのような特徴をもったケドの使用になるとは限らず、発話におけるケドの機能に対する認識や使用の仕方に隔たりがある。そこで、「学習者は、どの程度においてケドを用いた言語処理や発話行為におけるケド機能への認識を日本語母語話者(JNS)のそれに近づけられるか」を本稿の研究テーマとし、逆接の意味が漂白された「中断節」と逆接の意味を含む「接続助詞(弱い対比・強い対比)」についてそれぞれ調べた。その結果、「中断節」の機能の理解やその使用の拡がりには学習者に共通した発達段階がみられたものの、JNSの使用に近づく過程や接近の度合いには、学習者の母語による差異がみられ、学習段階が進むにつれ、より日本語母語話者の使用に接近すると量的にいえるのは韓国語母語話者(KNS)のみであった。更に「接続助詞」の使用において量的にJNSと同傾向を示した学習習熟度の高いKNSについて、主節との距離が離れたケド節の使用はみられなかったことから、互いの想定といった言語化されないものの間に矛盾対立関係を認める「弱い対比」のケドの機能を理解することや、その使用をJNSに近づけることは学習者にとって難しいものであることがみてとれた。
<休憩>
■講演
「第二言語環境における語用論的能力の習得」【3:00~4:00】
清水崇文(シミズ タカフミ) 上智大学 国際教養学部・大学院外国語学研究科
【要旨】
語用論的能力の習得には文脈に関する情報を伴ったインプットが必要であるため、教室外でこうしたインプットに晒される機会が多い第二言語環境の方が、そうした機会に乏しい外国語環境よりも有利だと言われている。そのため、語用論的能力は留学さえすれば身につくと安易に考えられがちだが、学習者は留学中に皆同じように語用論的能力を発達させるわけではない。
本発表では、学習環境の影響に関するこれまでの研究成果に基づいて、語用論的能力の習得と学習環境に関する冒頭の仮説(第二言語環境の優位性)を検証するとともに、第二言語環境での語用論的能力の習得に影響を及ぼす様々な要因を整理し、なぜ留学が語用論的能力の習得にとって「万能薬」ではないのかを考えてみたい。
ご来場お待ちしております。