第73回第2言語習得研究会(2010年4月17日)

会員の皆様

※重複して受け取られた方はご容赦ください
第73回第2言語習得研究会のご案内をお送りいたします。

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◆日時; 2010年4月17日(土)午後13時30分からを予定しております(開場は13時となります)。
◆場所; お茶の水女子大学文教2号館302教室
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html
正門(東門)から入って一番遠い11番の建物です。
◆研究会参加について:
参加への事前予約等はございません。
2010年度初回ですので、当日、受付にて年会費(2000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。

◆講演
  「第二言語習得研究における機能主義の可能性」
  木山三佳(キヤマ ミカ) 明海大学外国語学部日本語学科
【要旨】
機能主義とは、学習者が表そうとしている機能に注目しない限り中間言語を明確に解釈できないと考え、産出に現れた学習者の意味を形成する試みを記述するものである。これまでの研究成果は、第一言語の発達や第二言語の文法体系や語用論的側面の発達など、初期段階の自然習得環境にある学習者を対象としたものに集中している。そこで、中級以降の教室習得学習者を対象とした接続助詞の研究を例として第二言語習得研究における機能主義の可能性を考える。

◆研究発表
1.「タイ人児童の来日3・4年目の学習作文について―物語文と説明文における日本人児童との比較」
 細野尚子(ホソノ ナオコ) 横浜国立大学大学院 教育研究科言語文化系 専攻日本語 修了生
【要旨】
 来日3~4年目の小学3~4年生のタイ人児童と同じ在籍学級の日本人児童38名の1年間にわたる4つの学習作文を取り上げ、書かれた作文の総形態素、教科書からの引用率、文の複雑さ、誤用を日本人児童と比較した。引用率において、来日3年目の説明文についての学習作文は、教科書からの引用がほぼ半分の日本人児童の約2倍の量であった。また、日本人児童であっても、説明文は物語文より高い引用率であった。引用は、自分の言いたいことや書きたいことを表現する一つのスキルであることが分かった。文の複雑さを従属節と並列節の数で比較したが、違いは見られなかった。誤用について、外国人児童の場合、助詞は脱落と文法的な間違いが多く、動詞や名詞の間違いは、ひらがなによる脱字によるものが多かった。さらに、文と文をつなぐ接続表現を外国人児童の作文と発話より調べた。接続語は4年目の作文で現れ、話しことばで多く使われているものが書きことばの中で出現することが分かった。

2.「中国人日本語学習者における日本語の受身文の学習の理解度に関する研究」
曹琳琳(ソウ リンリン) お茶の水女子大学大学院科目履修生
【要旨】
 本研究では、日本語能力が異なる中国人学習者を対象に、日本語の受身文の4種類について、文の構造の理解度と、学習者と日本語母語話者の具体的な場面・状況における使用の傾向を調査した。調査資料は文法タスクと4コマ漫画による文産出テストである。その結果、以下のことが明らかになった。(1)文の構造の理解度について、受身文の4種類のうち、日本語能力による差が見られなかったのは「有生物直接受身」であった。一方、日本語能力による差が見られ、そして日本語能力に応じて理解度が高まっているのは「非持ち主間接受身」であった。(2)具体的な場面・状況における受身文の4種類の使用の傾向は、日本語能力によって異なり、それぞれ日本語母語話者と類似あるいは相違した傾向が見られた。特に注目すべきは「非持ち主間接受身」について、どのレベルの学習者も日本語母語話者より多く使用している点である。

ご来場お待ちします。

第2言語習得研究会(関東地区)
事務局:鄭在喜
http://jsl2.li.ocha.ac.jp/SLAken/sla.html
e-mail: sla[a]cc.ocha.ac.jp
※[a]を@に直してお送りください