第80回第2言語習得研究会(関東)のプログラムをご案内いたします。
今回の第2言語習得研究会(関東)は、
本研究会を創設され、3月で定年を迎える長友和彦先生の講演会と、4件の研究発表を予定しております。
研究会の後には懇親会も予定しておりますので、こちらにも是非ご参加ください。
なお、 開始時間と会場が通常と異なりますのでご注意ください。
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◆ 日時:2012年2月18日(土) 13:00~17:00
(開場は12:20となります)
◆ 場所:お茶の水女子大学 生活科学部 306大講義室
(正門から入って正面に見える建物(大学本館)の3階です)
*いつもと会場が異なりますのでご注意ください。
*大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。
正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の
茗荷谷駅になります。
*学内マップ;
http://www.ocha.ac.jp/access/campusmap_l.html
◆ 研究会参加:
2011年度(4月以降)初めていらっしゃる会員の方は、
当日、受付にて年会費の半額 (1000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。
なお、4月、6月にお越しくださいました方は、既に会費を納付済みですので、無料となります。
◆ 懇親会のご案内:
研究会の後、懇親会を行う予定です(18:00-20:30 茗荷谷駅近くのレストラン)
懇親会の参加をご希望の方は①氏名②所属③連絡先(e-mail,電話番号)を明記の上、事務局sla.kanto.ocha@gmail.comまでお送りください。
※ 申し込み締め切り:1月30日(月)
※ 懇親会費:4,000円
※ 事前予約制ですので、お早めのご連絡をお願いします。
◆ プログラム
【研究発表1】13:00-13:35
岡田美穂 「JFL環境、JSL環境における中国語を母語とする学習者の存在文のニ格の習得過程」
【研究発表2】13:35-14:10
庄倩「中国人学習者日中同形類義語の習得 ―即応産出時の難易度とそれに関わる要因について―」
✤10分休憩✤
【研究発表3】14:20-14:55
岩下智彦「講義の進行に伴うノートテイキングの質的変化―物語文法の枠組みを用いて―」
【研究発表4】14:55-15:30
柴田アドリアーナ・高橋薫・佐藤朝美・山内祐平
「在日ブラジル人児童を対象としたデジタル日本語教材の開発」
✤10分休憩✤
【講演会】15:40-17:00 (1時間講演、20分質疑)
長友和彦「『多言語多文化同時学習支援論』とは…?」
◆ 研究発表
■発表1 (13:00-13:35)
「JFL環境、JSL環境における中国語を母語とする学習者の存在文のニ格の習得過程」
岡田 美穂(おかだ みほ) 九州大学比較社会文化学府 大学院生
【要旨】 本研究は、「~に...が3人いる」といったタイプの存在文に出現するデ格の誤用は、範囲限定のデ格との混同に起因することを示すと同時に、この誤用が学習環境の異なる中国語を母語とする日本語学習者に見られるのかを検証したものである。当該存在文は、範囲限定のデ格を伴う文との区別が困難であることから、この混同が引き起こされるものと考えられる。調査は、格助詞選択テストに基づくもので、JFL環境とJSL環境の学習者に対し実施した。その結果、JFL、JSLの双方において当該存在文の二格と範囲限定のデ格の間には負の相関関係があることが分かった。これは、範囲限定のデ格の正答率が上昇すると存在文等のニ格の誤答率が上昇することを意味する。他方、存在文の二格と動作場所のデ格との間には相関関係がないことが明らかになった。このことは当該存在文に見られるデ格の誤用は、存在文の二格と範囲限定のデ格との区別がつかない習得過程を示すものと思われる。
■発表2 (13:35-14:10)
「中国人学習者日中同形類義語の習得 ―即応産出時の難易度とそれに関わる要因について―」
庄 倩(しょう せん) 早稲田大学日本語教育研究科外国人研究員・中国南京大学外国語学院 講師
【要旨】日中同形類義語は漢語の中で最も習得しにくく、特に中国人学習者が使用する時に誤用が多いとされる。その原因を探るために、本研究では目標語を使用する際の難易度が母語の転移とその語の難易度(日本語能力試験級数)、学習者日本語習熟度より影響されるとの仮説を立てた。調査方法として、中国のある大学の日本語学科に在籍する学生35名を対象に、提示された中国語の文の意味を直ちに日本語で伝えさせる即応産出テストを実施した。分析方法としては、20個の同形類義語の難易度を調べ、統計的手法を用いて上記の仮設が成立するかどうかを検証した。 結果としては、中国人学習者が同形類義語を使用する時に母語の意味転移の影響が実在するが、それだけに左右されるものではないことが判った。意味対照タイプの違いと品詞の差異の有無、目標語の難易度、学習者日本語習熟度によって使用難易度が違ってくるとの仮説を証明した。
■発表3 (14:20-14:55)
「講義の進行に伴うノートテイキングの質的変化―物語文法の枠組みを用いて―」
岩下 智彦 (いわした ともひこ) 桜美林大学大学院言語教育研究科 修了生
【要旨】本研究は,講義の理解過程とノートテイキングの関係性を明らかにすることを目的とし,講義の進行に伴うノートテイキングの質的変化を分析したものである。調査協力者(NS4名,NNS9名)が講義DVDを視聴した際のノートを分析対象とし,物語文法(Thorndyke 1977)に基づいて抽出した講義の主要な内容が,どの程度ノートに書かれているか分析した。その結果,以下の3点が明らかになった。1)講義の進展に伴い講義の主要な内容の記述率が減少した。2)講義序盤では,物語文法における上位情報,下位情報を問わず記述されている傾向が示された。一方,講義終盤では上位情報は記述され続けていたのに対し,下位情報の記述は減少した。3)ノートの記述量が多い群と少ない群に分け分析したところ,この2つの傾向は特に記述量が少ない群に顕著であった。この結果,母語話者,非母語話者を問わず,講義の進展に伴い受講者のノートテイキングの質が変化するということが示唆された。
■ 発表4 (14:55-15:30)
「在日ブラジル人児童を対象としたデジタル日本語教材の開発」
柴田 アドリアーナ (しばた あどりあーな) 東京大学大学院学際情報学府文化・人間情報コース 大学院生
【要旨】本研究では、在日ブラジル人児童(幼稚園年長から小学校1年生)向けの、インフォーマルラーニングのデジタル日本語教材を開発した。母語習得においても、幼児期のインフォーマルな学習が、小学校入学後の日本語学習に多大な影響を与えるが、対象児童に対するインフォーマルラーニングの支援は管見では見られない。支援原理としては、社会的構成主義に基づくFifth Dimensionの理論を採用した。教材は、ブラジルと日本に馴染み深いバイリンガルの教授エージェントとの対話を通して、対象児童が一人でも日本語の学習を進められるようにデザインした。ユーザーテストの結果、対象児童が一人でも日本語の学習を進められることが確認された。また、パペットパラダイムを用いて、事前・事後テストを実施したところ、事後テストでは、学習した日本語表現を自ら産出したり、正答には至らなくても教材から受けたインプットを理解し、インテイクが促進された様子が伺えた。
◆ 講演会 (15:40-17:00)
「『多言語多文化同時学習支援論』とは…?」
長友 和彦 (ながとも かずひこ) 宮崎大学
【概要】「誤用分析」をきっかけに「中間言語研究」を始め、その後、「自然習得研究」から「多言語習得研究」へと私の研究上の関心は移っていきました。講演では、「多言語習得論」を理論的支柱の一つとする「多言語多文化同時学習支援」についてお話ししたいと考えています。「多言語多文化同時学習支援」は、最も簡潔には、「学習者が母語・毋文化を活かして、それ以外の言語・文化を二つ以上、同時に学習することを教師(指導者)が支援者、あるいはファシリテーター(推進者)として支援することである」と定義されます。グローバル・コミュニケーション、特に、東アジア諸言語を共通語とする東アジアのコミュニケーションの基盤構築に寄与しようと5年ほど前から始めたもので、宮崎大学を核として台湾・韓国・中国・日本の関係機関と連携しながら、その「理論」と「実践」と「運動」の展開を図っています。 講演では、①「多言語多文化同時学習支援」と「多言語習得論」、②「多言語多文化同時学習支援」と「言語教育論」、③「多言語多文化同時学習支援」シラバス論、④「運動体」としての「多言語多文化同時学習支援」等の観点、特に「多言語『同時』習得論」に観点を絞ってお話を進め、参加者の皆様と意見を交わすことができたらと思っています。
ご来場、お待ちしております。
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第2言語習得研究会(関東地区)
事務局:曺ナレ
http://sla-kanto.blogspot.com/
e-mail: sla.kanto.ocha[at]gmail.com
スパムメール防止のため、[at]を@に変えて返信してください。
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