第75回第二言語習得研究会(関東)のご案内

第75回第2言語習得研究会(関東)のプログラムのご案内

みなさま

今回の第2言語習得研究会(関東)は、マルチリンガリズム研究会との共催で、テレビ会議システムを用い宮崎大学と つないで行います。会場が異なりますのでご注意ください。

◆主催 第2言語習得研究会(関東) マルチリンガリズム研究会(九州)
◆日時 2010年10月16日(土)13:30~16:45(開場は13:00)
◆場所 
<東京会場>
お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科棟5階508号室(視聴覚室)16番目の建物です。
http://www.ocha.ac.jp/access/index.html  

*いつもと会場が異なりますのでご注意ください。
*土曜のため、正門(東門)しか開いていません。正門は春日通り沿いですので 、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
<宮崎会場>
宮崎大学教育文化学部棟6FTV会議室
*参加希望の方は、長友先生までご連絡ください。
nagatomokz@cc.miyazaki-u.ac.jp

◆第2言語習得研究会(関東)参加について
第2言語習得研究会(関東)参加への事前予約等はございません。
2010年度(4月以降)初めていらっしゃる会員の方は、当日、受付にて年会費の半額 (1000円)をお納めいただきますようお願いいたします。
非会員の方も同様にお納めいただき、入会していただきますようお願いいたします。
なお、4月、6月にお越しくださいました方は、既に会費を納付済みですので、無料となります。

◆プログラム
■発表1 東京側(司会:森山)(13:30-14:10)
「初級日本語学習者の読解における語彙学習とテキスト理解
-Involvement load仮説の“検索”の効果を対象語の参照語数を考慮し検証する-」
吉澤真由美( お茶の水女子大学大学院 修了生)
《要旨》
Involvement load仮説は動機面の“必要性”、認知面の“検索”と“評価”の3要因で語彙学習を説明しようとするものでLaufer & Hulstijn(2001)により提唱された。この内、“評価”は効果を報告した研究が既にある (Hulstijn & Laufer 2001他)。しかし、未知語情報をどの程度参照したのか報告がない研究も多く、参照語数が結果に影響した可能性がある。本研究は参照語数を考慮し“評価”の効果を明らかにすることを目的とする。初級日本語学習者32名を(1)未知語の意味を2つ与えどちらが文脈に合うのか評価させる(評価+)、(2)意味を1つ与える(評価-)に振り分け未知語14語を含む文章を読ませた。参照した未知語は読解時に印をつけさせ、読解後に語彙と読解のテストを行った。分析の結果、評価+で参照語数が有意に多くなっていた。そこで、参照語数の違いを考慮した共分散分析を行ったところ、読解テストは評価+の得点が有意に高いが、語意テストは両条件で有意差がなかった。これらの結果から“評価”は初級学習者の読解を促進するが、語彙学習は促進しない可能性も考えられる。

■発表2 宮崎側(司会:長友)(14:15-14:55)
「中国人技能実習生の日本語自然習得―あいづちの習得研究―」
山中 鉄斎(宮崎大学教育学研究科学校教育支援専攻大学院生)
《要旨》
数ヶ月の座学期間の後、職場に配属されて仕事に従事する中国人技能実習生の日本語習得を高自然習得と規定し、自然習得者が教室習得者に比べて身につけやすい流暢さという面を、あいづち習得の観点から明らかにしていく。通常の学習者が教室で学ぶことがほとんどない「あいづち」の習得が、自然習得環境下でどのように進んでいくのかを縦断的に観察し、分析する。データには、縦断的に録音した母語話者との自然会話データを使用し、Aグループ(来日1年の3名、8ヶ月にわたるデータ)とBグループ(来日1ヶ月の3名、5ヶ月にわたるデータ)に分けて、先行研究との比較を行いながら分析を行う。

<休憩>

■パネルディスカッション「多言語・多文化教育を考える」(15:10-15:50)
 宮崎側 長友和彦(宮崎大学教授)
 東京側 森山新(お茶の水女子大学准教授)
宮崎大学とお茶の水女子大学で行われている多言語・多文化教育について紹介、その現状と課題、今後の発展可能性について考える。

■発表3 宮崎側(司会:長友)(15:50-16:30)
「多言語学習者の学習ストラテジーについての考察」
魏艾玲(宮崎大学教育研究科日本語支援教育専攻大学院生)
《要旨》
今までのマルチリンガル研究は、ヨーロッパのような多言語環境で育った人を対象にしたものが多いが、アジア(特に東アジア)の多言語学習者を対象にした研究はあまりない。筆者は、多言語環境にない多言語学習者がなぜ、どのようにして多言語能力を身に付けることができたのか、多言語学習者の言語学習経験の実態調査を通して解明したいと考える。
そのため、本研究では、日、中、英、韓など多言語能力を持っている多言語学習者を対象に、SILL(Strategy Inventory for Language Learning)を改良したアンケートを用いて言語学習ストラテジーについての調査を行った。筆者は、学習者の言語学習ストラテジーの運用と、学習者の言語学習に対するビリーフ、言語学習経験、言語能力、各言語それぞれの学習動機、言語学習環境などとの関わりを考察し、その結果を今回の研究会で発表したい。


ご来場、お待ちします。